デプスインタビューのメリットや事例、人数やフローなどを徹底解説!

デプスインタビューのメリットや事例、人数やフローなどを徹底解説!

マーケティングには数々の手法があり、ユーザーの話を直接確認するインタビューの手法は効果的・効率的に回答を集める方法の1つです。そしてインタビューの進め方にも様々な形式があり、中でも対象者からの話を深く掘り下げられるデプスインタビューならば、より多くの情報を得られる可能性があるでしょう。

この記事では、デプスインタビューの概要やメリット・デメリット、進め方やコツなどを解説します。

デプスインタビューとは具体的にどのようなものでしょうか?ここではデプスインタビューの基本的な概念、よく似ているエスノグラフィー調査との違いを解説します。

インタビューと言われて多くの方がイメージするのは、就職活動で経験するようなグループインタビューでしょう。グループインタビューとは1回に5~6名程度のユーザーを集めて座談会形式でインタビューを行う方法です。グループインタビューは消費者の深層心理や行動の背景を理解することを目的としており、1度に複数人に対してインタビューができるためコストが抑えられます。また、参加者間の議論によって意見が活発に出ることも期待できるでしょう。消費者の具体的な意見が聞けるため、食品業界においても新商品の発売時のペルソナ理解に役立てることができるでしょう。

ただし、グループインタビューは人前では話しづらいテーマを選択すると、議論が活発になりにくいためおすすめできません。また、同時に複数人を集める必要があるため日程調整が難しいことがあり、突然のキャンセルなども想定しておく必要があるでしょう。

デプスインタビュー(DI:Depth Interview)とは、対象者とインタビュアーが1:1で対話する形式のインタビュー手法です。定性調査の代表的な手法の1つであり、対象者の表層的な情報だけでなく生活実態などを踏まえて質問を深く掘り下げて調査できます。
グループインタビューとは異なり、他人がいると話しにくいテーマに向いていると言えるでしょう。非常に深いところまで消費者の話を聞けるため、例えば食品業界でも売れ筋商品に関してデプスインタビューを行うことで、想定外の販売ポイントが見つかる可能性があります。ターゲット層の価値観を構造的に理解することで、別のセールス戦略にも活かせる情報が得られるでしょう。

エスノグラフィー調査は行動調査とも言われる、ユーザーの日常的な行動から消費者心理を読みとる調査手法です。1回の調査対象者はデプスインタビューと同様に1名ですが、対象者の意思決定に至るまでの潜在意識を観察によって見つけ出すことを目的としている点で異なります。

エスノグラフィー調査ではユーザーのありのままの行動から潜在的ニーズを汲み取り、改善点を見つけます。エスノグラフィー調査で分かるユーザー心理は商品の根幹に関わることが多く、改善の余地があまりない既存の商品に対しては不向きなことも多いでしょう。食品業界においては、新商品リリースの準備段階でエスノグラフィー調査を実施すると、効果的な意見が収集できます。

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ここでは、デプスインタビューのメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。

デプスインタビューのメリットとしてまず挙げられることが、プライベートな話でも聞きやすいことです。デプスインタービューは対象者とインタビュアーが1:1で話をするため、周囲の目を気にする必要がありません。そのため、ローンや貯蓄、収入などのお金に関する話や健康や病気に関する話、他人には言いにくいような失敗談などを収集したい場合はデプスインタビューが適しています。こうした話にはユーザーの本音が隠されており、マーケティング戦略においても充分に活かすことができるでしょう。

対象者一人ひとりの「人となり」を把握しやすいことも、デプスインタビューの特徴です。
デプスインタビューは対象者の考え方を深く掘り下げて確認できる調査手法であり、対象者の人柄や考え方を知ることでターゲット層の把握に活用できるでしょう。

デプスインタビューは、対象者の意思決定までのプロセスを深くまで追求できます。
1人の対象者の発言の理由や背景まで深堀りすることで、意思決定プロセスを充分に理解できます。意思決定プロセスを知ることで、消費者が商品を購入するに至る理由に関する情報が多数得られるでしょう。

デプスインタビューは、1回のインタビューに比較的長い時間を必要とする調査方法です。ケースにもよりますが、1回あたり1時間~1時間半程度はかかると考えられます。1人に対して深くじっくりとインタビューをして情報収集できる点が利点であるため、なるべくスケジュールに余裕を持って実施することをおすすめします。

デプスインタビューは対象者1人から深く情報を得られる調査手法ですが、インタビュアーのスキルによって結果が変化する点には注意が必要です。デプスインタビューのインタビュアーには、対象者の発言や行動に対して適切な質問を投げかけていくことで深堀りしていきます。そのため、見当違いの質問をしていては重要な情報は引き出せません。
しかし深堀りをし過ぎると意見が固まらず、インタビューの見通しがつかなくなります。インタビュアーのスキルによる結果の変化を避けるためには、あらかじめ質問項目や質問の仕方を担当者間で共有し、インタビューに差が出ないように準備しておきましょう。ただしその際にも質問は固定するのではなく、臨機応変に対応できるように練習が必要です。

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デプスインタビューの流れをマスターしよう

ここでは、デプスインタビューを進める際の流れについて解説します。

デプスインタビューを実施する際にはまず、現状の問題からインタビューを行う目的・解決したい問題を明確にし、その上で仮説を立てます。また、課題を明確にするには「課題に対する企業側の仮説」を用意しておき、仮説と対象者の意識との共通点や違いをインタビュー中に検証していくことが大切です。例えば食品業界であれば、「○○の売れ行きが悪いのはパッケージが商品イメージと合わないからでは?」などと仮説を立てていきます。

現状の問題から仮説を立てたら、仮説に基づいて対象者を決定し集めていきます。事前アンケートを答えてもらい、スクリーニングをかけていきます。事前アンケートの内容は、ユーザーの行動実態や商品への関与度の高さなどを判断できるものにしなくてはなりません。そのためアンケートには自由回答欄を設けて、自分の意見を積極的に説明できる人や購買行動を遡って語れる人を選別できるようにしましょう。

対象者を集めたら、質問項目と質問をする優先度のランク付けを行います。インタビューの時間は限られており、限られた時間の中でインタビューを行うため事前に優先度の高いものと低いものを分けておくのです。当日の時間経過次第では、優先度の低い質問をカットする必要性も出てきます。また、行動に関する質問・意識に関する質問も分けておくとインタビューをしやすくなるでしょう。さらに、質問の内容が決まったらどのような順番で質問していくのか、フローも決定していきます。

インタビューの準備を終えたら、実際に対象者に参加してもらいインタビューを実施していきます。インタビューは優先度の高い、行動に関する質問から行いましょう。意識に関する質問に答える際に、多くの方はまず、具体的な行動を想像することが多いと言えます。そのため意識の質問を始めにしてしまうと、先に考えた限定的な行動しか思いつかなくなり回答が偏る恐れがあります。

有効的なインタビュー方法としては、最初に行動の質問を行い、その質問を掘り下げて、「どうして?(理由)」「それでどうしたい?」などと意識の質問していきましょう。例えば対象者のある行動について気になったら、その行動を取った時に何を考え、どんな気持ちなのかを深堀りしていくと良いでしょう。デプスインタビューは落ち着いた環境で行うべきであり、土日などを使って集中的に実施できると効率が上がり、余裕を持ってインタビューを進められます。

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ここでは、デプスインタビューの効果を高めるコツを2つに整理して解説します。

デプスインタビューでは、「なぜ?」を繰り返して対象者の本当の価値観を知ることを目指しましょう。この方法を「ラダリング法」と呼び、「なぜ?」を繰り返すことで問題の本質に近づけます。

例えば以下のような流れで質問を繰り返していきます。
質問者:「テイクアウトと出前、どちらを選びますか?」
対象者:「テイクアウトです」
質問者:「なぜテイクアウトの方が良いのですか?」
対象者:「実際に商品を見たいからです」
質問者:「なぜ実際に商品を見たいと思うのですか?」
対象者:「想像していたものと違っていたら嫌だからです」
質問者:「なぜ想像していたものと違っていると嫌なのですか?」
対象者:「せっかくの食事だから、美味しいものを食べて満足したいからです。」

このように「なぜ」を繰り返すことで具体的な行動から徐々にユーザーの根底にある考え方、価値観につながっていきます。ただし、あまり掘り下げすぎても意味のない質問が続いてしまう可能性があるため、理解すべきテーマにおいて十分なデータが集まった段階で質問を終わらせることが大切です。

デプスインタビューでは、アクティブ・リスニングを心がけましょう。アクティブ・リスニングとは、聞き手が言葉や行動を通じてより積極的に相手の話を聞いていくことです。アクティブ・リスニングを駆使することで相手は徐々に心を開き、話しやすい環境を作り出せます。

アクティブ・リスニングには、以下のような方法があります。

  • ミラーリング
    ミラーリングとは、相手の仕草や行動をミラー(鏡)のようにマネすることです。人間は類似性の法則という自分と似た人やモノに対して好意を抱きやすい性質を持っているので、ミラーリングによって対象者との距離が縮まります。
    相手の言葉遣いやちょっとした仕草、さらに価値観などをまねることで好感を抱いてもらいやすくなります。
  • オウム返し
    オウム返しとは、相手の話したことをそのまま繰り返すことです。例えば、「この商品を購入した日はすごく寒くて…」と言われたら、「商品を購入した日はすごく寒かったんですね」などとオウム返しします。ただし全ての文言を何度もオウム返しすると相手にウンザリされてしまう可能性があるため、相手が話した内容の大事な部分だけを抜粋し、繰り返すことをおすすめします。その結果、相手は自分の感じた感情と向き合い、その時のことを思い出せるのでより深い考察につながるでしょう。

「「IDレシートBIツール」は、顧客の購買行動の把握によって効果的なマーケティングに貢献するツールです。数万規模のお買い物レシートのデータを蓄積した「IDレシート」は、商品の買われ方や顧客の嗜好、価値観などを把握でき、顧客の可視化を実現します。また莫大なデータを整理するBIツールによって、様々な業務を抱える多忙なマーケターでも求める情報の特徴を簡単に掴むことが可能です。

IDレシートBIツールは事実に基づいた仮説立てやマーケティングに活用でき、効果的な経営戦略をサポートします。

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IDレシートBIツールには他にはない独自の魅力があります。

  • チェーンや業態横断での買い回りが見える
  • モニタじゃない自然な購買を把握できる
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詳しい特徴について1つずつ確認してみましょう。

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